価値下落の条件
まず、価値の高いものを解説する前に価値を低くするものの要因を挙げてみたいと思います。この後のセクションで解説するものも、ここで挙げる下落の要因を持ち合わせるものはコレクションとしての価値は総じて低くなります。
駅入場の手順
硬券入場券を購入し、駅の中に入場する手順は
・出札窓口で入場券を購入
・係員が日付刻印機(ダッチングマシーン)或いは回転印などでその日の日付を記載
・改札口にて係員が入場券に入鋏
・駅に入場、出場時に切符を返却
以上の手順を踏むことになります。コレクションとして経年変化による切符の色褪せや折れ、しわなど外的な要因はその価値を下げますが、以下では実際に上記の入場手順の中で生じる、コレクション価値下落の要因を挙げています。
小児券として使用の裁断
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乙片裁断の入場券 |
硬券入場券の様式の項目で解説していますが、小児券には専用券と通常の入場券を斜めに裁断という二種類があります。その、裁断された片割れの断片を乙片と呼びますが、この乙片の無い写真のような入場券は価値が下落します。下記項目で入鋏済みや変更印などその他の要因を挙げていますが、それらを含めて価値の下がる一番大きな要因がこの乙片の無い入場券で、余程珍しい駅の入場券である、という場合を除きほとんど価値がつきません。
料金変更印
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料金変更印押印の入場券 |
昭和50年代に入り、国鉄は頻繁に料金の値上げを実施しました(料金の変遷)。入場券などあまり売れない小さな駅は、たくさん余った旧料金の入場券を廃棄することなく、料金変更を示す印を捺して旧料金の入場券を活用する方法をとりましたが、これはコレクターにとって価値を下げる要因のひとつとなっています。同じ券面である場合、印の有無に関していえば印のあるほうが価値が低くなります。ただ、この料金変更印というのも各駅で色々な印影があり、この印影を集めている人もいたりします。
入鋏済み
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入鋏済みの入場券(上パ) |
使用済みの入場券には改札の際に生じる欠け(鋏痕 きょうこん)が生じます。これをパンチなどと言ったりしますが、このパンチ入りの入場券は無いものに比べると価値は低くなります。ただ、入場券というのは機能的にはパンチが入っていて当たり前のものです。パンチの無いものはコレクション用(或いは記念用)として購入したものであり、パンチの有無で価値の高低が付くのはおかしいのですが、やはり見栄えというものを重視するようで価値に影響するようです。なお、このパンチの位置により『上パ』『下パ』『横パ』と呼称され、それぞれパンチの位置によっても価値に違いがあります。実際の切符の入鋏というのは長手の下辺部分の下パと呼ばれるところにするのが正規のもので、この下パがパンチ入りの入場券の中では価値は高めです。なお、料変印と同じく鋏痕も駅によって違いがあり、パンチ入りの入場券を好んで集めている人もいます。
価値の下落する条件としてはこんなところでしょうか。あと、日付が入っていない券、その日の初売りを示す券裏面のマーキングの有無など要因としてはまだありますが、それほど価値に相違は無いように思われます。
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