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エアーラインズヨーロッパ

箱 タイトル:AIRLINES EUROPE
作  者:Alan R.Moon
対応人数:2~5人用
時  間:75分
制作会社:ABACUSSPIELE

概要

名作『ユニオンパシフィック』の発売は1999年。そのユニオンパシフィックが絶版となり、長らく再販が望まれていましたが、この度ABACUSSPIELEからエアーラインズヨーロッパの名前でリメイク、再版されることとなりました。このゲームをプレイすることが出来たのでレビューしてみたいと思います。なお、前身のユニオンパシフィックとの比較も織り込んでいきたいと思います。

ボード全景 ボード全景です。ユニオンパシフィックではアメリカの鉄道会社を舞台にしていましたが、こちらはヨーロッパの航空会社が舞台となっています。

因みにユニオンパシフィックもリメイクされたゲームで、リメイク元のゲームは『AIRLINES』というアメリカの航空会社を舞台にしたゲームでした。ということで前2作のそれぞれのテーマを融合したようになっています。

このゲームは11社(人数によって減る場合あり)の航空会社のいずれかの株を取得し、その航空会社を大きくして株の価値を高めてタイミングよく公開し、多くの勝利点を得たプレイヤーが勝利するルールになっています。前作ユニオンパシフィックではお金がそのまま勝利点となっていましたが、エアーラインズヨーロッパではお金とは別に勝利点が存在しています。

手番には次の4つのうちからひとつだけ行動することができます。

A)任意の航空会社の路線を拡張して、場に出されている株を1枚取得する
航路拡張任意の航空会社の路線を拡張します。例えば、写真の青の航空会社はローマが本拠地。ここから路線を拡張していきます。拡張する際はその飛行機の駒ひとつを拡張したい部分に置いていきます。この時コマを置くところの数字分だけお金を払うことになります。

ユニオンパシフィックでは線路の種類とカードによる縛りがありましたが、エアーラインズヨーロッパではお金で自由度を制限する格好になっています。

なお、この路線の拡張は望むのであれば2回(同一会社でも、別々の会社でも可)行うことができます。路線を拡張した後に、株式トラック(写真下)の該当する駒をボードに書かれた数字分(支払ったコストと同じ数値)動かします。この株式トラックは現時点でのその会社に関する勝利点の情報を示しています。ユニオンパシフィックでは決算時に置かれた列車駒を数える必要がありましたが、こちらは決算時にはこの株式トラックの数値分が勝利点となりますので、決算が楽にできるようになっています。
株式トラック
これら処理が終わったら場に公開されている5枚の株、もしくは山札の1番上から1枚の株を取得して手札に加えて手番終了です。なお、飛行機駒を2つ置いた場合でも取得できる株券は1枚のみです。

B)株券を公開する
手札として持っている株を場に公開します。この公開した株が決算時に有効となる株となります。決算時に株式トラックに示された点に基づきその会社の株を1番多く公開しているプレイヤーに最高点、2番目が其の次の点数といった具合に勝利点が与えられます。株の公開は1種類の株を好きなだけ枚数公開するか、2種類の株を1枚ずつ公開するかを選択できます。公開した株1枚につきプレイヤーはお金2ミリオンユーロを得ることができます。(ミリオンユーロはお金の単位。路線拡張の際ボードに"4"と表示されていれば、拡張の際の費用は4ミリオンユーロとなります)

C)エアーアバカス社の株を交換によって得る
エアーアバカス社株エアーアバカス社は他の航空会社とは異なり航空路線を持ちません。決算時には決まった勝利点が定められていて、そちらに基づいて勝利点が与えられます。ユニオンパシフィックでいうユニオンパシフィック社の株と同等のものです。1回目、2回目、3回目とそれぞれ勝利点が決まっており他の航空会社より高めに設定されています。

この会社の株は自分が持っている株(手札、公開問わず)との交換によって得ることができます。自分の株1枚とエアーアバカス社の株1枚と交換するか、自分の株3枚とエアーアバカス社の株2枚と交換するかを選択できます。なお、一手番中に取得できるエアーアバカス社の株券は2枚までになっています。

D)お金を得る
8ミリオンユーロ受け取ります。

以上4つのうちひとつを実行したら手番終了となります。以下次のプレイヤーが手番を行い順次繰り返します。株券の山札には決算カードが3枚入れられています。この決算カードがめくられたら決算となり、公開株と株式トラックを見合わせて勝利点を分配していきます。最終(3回目)決算の勝利点が分配された後、各プレイヤーのうち一番勝利点が多いプレイヤーの勝利です。

接続ボーナス各航空会社によって(ゲーム全体で使われる)株の枚数、飛行機コマの数が違います。株の枚数の少ない航空会社には目的地ボーナスがあります。

これはその航空会社の拠点都市から指定された都市へと路線を拡張すると、ボーナスとして株式トラックを示された値だけ増やすことが出来るというものです。これにより株枚数の少ない航空会社の勝利点が少なくなるという不公平さを多少是正しています。

写真上はオレンジの接続ボーナスマーカー。オレンジの本拠地はアテネで、アテネからこのマーカーがあるロンドンへつなぐとボーナスとして株式トラックを+6進めることができます。下の白の航空会社はモスクワが拠点。ここ、マドリードまで伸ばすと+9のボーナスが得られます。ここはユニオンパシフィックと大きく違う点です。

寸評

ゲーム風景前作のユニオンパシフィック同様、あちらを立てればこちらが立たずのジレンマがタップリと楽しめる好ゲームでした。

また、決算が3回となり(ユニオンパシフィックは4回)得点計算も簡略化したため、プレイ時間はユニオンパシフィックに比べてかなり短くなっています(ユニオンパシフィック110分、エアーラインズヨーロッパ80分)。

ボードの視認性やプレイのやりやすさは前作の悪評判を踏まえてかかなり良好に改善されています。ただ、赤とオレンジの飛行機コマの色がほとんど区別できないのだけが残念でした。10色も使っているので似ている色になってしまうのはやむを得ないかもしれませんが、ここだけがコンポーネントでは欠点と思われるところでした。

手番にできることが2択から4択に増え、お金で株をやり取りするという概念も加わりユニオンパシフィックとは違ったプレイ感でしたが、どちらも良く出来ています。プレイ時間などの点からこのエアーラインズヨーロッパの方が好みでしたが、この辺りは人それぞれ意見があるでしょう。ただ、どれを買おうかという人はこのエアーラインズヨーロッパを勧めておきます。前作に勝るとも劣らないゲームになっています。ただ、ユニオンパシフィックが合わない人は多分このゲームも合わないと思います。ま、それは当たり前でしょうね。

上の写真は初プレイ終了時の様子。3人プレイで1位が95点、2位が86点(私)、3位が77点という内容になりました。最後にエアーアバカス社の株を公開出来れば勝っていたのですが、その前に決算となってしまい無念、2位に甘んじました。色々と戦法がありそうなので、また再戦したいところであります。

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